ブランドが過剰で飽和している中、WEBやSNSの発達によってより賢くなった消費者は、従来のように企業発信の情報に惑わされることなく、自身が体感した「ブランド体験」に基づいてそのブランドの真価を判断します。以前よりも透明になった世界において重要になるのがブランドの信憑性です。
今求められているブランディングとは
改めて、ブランドとブランディングの違いを明らかにしておきたいと思います。ブランドとは、消費者が各タッチポイント(顧客接点)で得られた経験や感情をもとに作り上げたイメージのこと。そして、ブランディングとは、それらのイメージを生み出すメッセージや体験をデザインし、マネジメントする具体的なプロセスのことを指します。
消費者が賢くなった透明な世界では、消費者は事前に購入しようとしている商品・サービスが「どのようなものか」と同じ程度にその提供者が「誰」でどのような「行動」をするのかを調べた上で、そこに「信憑性」があると判断できてから初めてその商品・サービスを購買します。ブランディングの一番の成功要素は「一貫性」であり、全てのタッチポイント・全方位において一貫性を持ったコミュニケーションを徹底することが大切なのですが、信憑性はこの一貫性から生まれるのでブランディング活動自体がハリボテで一過性のものだったり部分的なものだったりではなく本物であることが求められています。ブランドを定義する要素が過不足なく揃っていて矛盾点がないか、それぞれが有機的に作用しているか、更に、定義したブランド要素やブランド戦略が全てのタッチポイントで一貫性をもって実行・体現されているか、定期的にブランド監査を行って問題があったらブランディング活動に取り掛かることが重要です。
価値観・感性に目覚めた消費者
現代のブランディングにおいて信憑性と同じくらい大切なのが、価値観・感性です。最旬の消費者の消費行動モデルの一番最初のスタート地点が「共感」であり、ブランドが持つ価値観や感性に共感→自分に合うものかどうかを確かめるために情報収集→自分のためのブランドだと確信→購買という消費行動が一般的になってきたということは、消費者が自分の感性に訴える一貫したストーリーをもつブランドを求めているということに他なりません。消費者の購買行動を決定づける重要な感性・価値観の軸で独自性を出したブランド戦略が立案できているか、更に一歩進んで、企業活動/行動を通じてその感性・価値観を体現できるような仕組みづくりができているか、この点に関しても定期的にブランド監査を行って問題があったらブランディングを検討する必要があります。