ブランディングが必要だと感じても、実際にプロジェクト立ち上げに至るまでが非常にハードルが高いというのが実情です。どうやって社内のブランディングの機運を高め、推進体制を構築し、全体プロセスと目指すべきゴールを設定するべきか。まずはブランディングの機運の高めるために大切なファーストステップをご紹介したいと思います。
大義名分は必須
戦略的PRに大義名分が必要なように、ブランディングプロジェクトにも大義名分が必要です。ブランディングは企業活動の根幹であり、経営層と連携し組織を横断して実行していくものなので、関係者を動かすには正しい狼煙をあげることがブランディングプロジェクト成功の鍵です。
①「周年」のタイミング:企業の節目となるタイミングはブランディングを始めるきっかけとして王道です。ステークホルダーが納得しやすく、スケジュールが決めやすいので非常にスムーズにプロジェクトを推進することができます。周年ブランディングは、企業ブランドのリブランディングに限らず、周年ロゴ制作、周年イベント実施、記念商品の企画販売、周年をテーマにした限定コンテンツの発表やキャンペーン展開など、企業の歴史とアイデンティティを改めて訴求し、社内外への感謝を伝えることで、ブランド価値を高めることに繋がります。2年ほど前から企画に入るのが一般的ですが、1年以内で短期集中して進めることもあります。
②M&Aのタイミング:社名変更のある無しに関わらず、M&Aではブランディングが必須になります。社名変更があれば新ロゴが必要になりますし、社名変更が無かったとしても新ブランドのCI開発の検討や、ブランド要素の再設定(MVV、ブランドのポジショニング、ブランドパーソナリティなど)、社内外への戦略的PRの企画・実行をする必要があります。M&Aの場合、異なる企業文化が融合することが求められるため、MVV(ミッション、ビジョン、バリュー)の再設定とMVVの浸透施策の立案・実行が特に重要になります。M&Aブランディングにおいては時間的な制約がありますが、ブランドを社内から崩壊させないように「企業文化の融合」の観点を忘れないようにすることが大切です。
③事業実態と、ブランドイメージやTOBEの姿との乖離が大きくなったタイミング:具体的には、創業者など企業ブランドのアイコン的存在のイメージが強すぎる場合、ブランドの中長期的成長のために若返りが必要な場合、環境の変化により事業の拡大・縮小をした場合、これまでにPRや広告など外部へのコミュニケーションが手薄だったためブランド資産を上手く社内外へ打ち出せていない場合、競合や市場環境の変化に適応できていない場合などです。こうした事業実態と、社外から見たブランドイメージや将来のあるべき姿との乖離が大きくなった/乖離に懸念がある場合も、リブランディングの検討や実行が必要になります。
④起業・スタートアップや新規事業のローンチのタイミング:企業や商品、サービスなど新ブランドの立ち上げ時もブランディングは必須です。この場合は特に、時間やコストなど制約がある中で走りながらブランド構築をすることが求められますが、だからこそ細かくフェーズを区切って最適なタイミングに最低限必要なブランド要素を固めるというように負荷をかけずにブランド価値を最大化する仕組みを作ることが欠かせません。また、起業やスタートアップの場合は創業者・創業メンバーの想いが、社内外への発信時に上手くアダプテーションできていない場合も多いので、戦略的PRの要素も加えたブランディングを実施する必要があります。