リチュアル/儀式でパフォーマンス向上

Rituals(リチュアル、儀式)とは、特定の状況で意識的に毎回同じような「型」で行われる行為です。儀式にはシンボルとなる物や言動が必要で、更に、優れた儀式にはストーリーがあり体験をより特別なものに変える力があります。儀式を戦略的にデザインすれば、個人とチームのパフォーマンス向上につながり唯一無二の強い企業文化も構築できるので、弊社ではブランディング戦略に「儀式」の要素を取り入れています。

儀式のパワー

ブランディングの観点での儀式は、例えば、新入社員の入社式や新しく入社する従業員に対するオンボーディングのように一生に一度のものから、ブランディングのプロジェクトメンバーが参画するワークショップのようにプロジェクト期間中に少なくとも1度は開催されるもの、イノベーション文化を根付かせるために不定期に行われるハッカソン、リーダーが週次で実施するOKRの進捗確認Mtgや1on1、M&Aやリーダーの交代時などにおけるコーポレートブランドに関する社内外への情報発信など、その規模の大きさや頻度は様々です。また、インフォーマルな形態だけではなくカジュアルなものもあります。

儀式の最大の特徴は、神社に参拝する前に手と口を水で清めて気持ちを整えるように、一つのアクションの中に複数の要素を同時に組み込むこと。ブランディング戦略上でも儀式を行うことによって身体の動きと精神・感情がシンクロしバランスが整うので安心して落ち着いた状態を作ることができ、集中して取り組めるようになってパフォーマンスも向上するという好循環に繋がります。

儀式の効果はフロー状態を作ってパフォーマンスを向上させるだけではありません。ワークショップやハッカソンのように右脳が刺激されてクリエイティビティが上がりイノベーションの創出につながる、OKRの進捗Mtgや1on1のように組織内の無駄な対立や衝突を避けてレジリエンスを高める、入社式やオンボーディングのようにコミュニティに属する感覚を育み自社独自の価値観や倫理観などが反映された強い企業文化を醸成する、M&Aやリーダー交代時などのコーポレートブランドの社内外への情報発信のように組織の変革や転換をスムーズに昇華させる、など幅広い利点があります。

儀式をブランディングに活かす方法

弊社では調査分析→戦略立案→実行という大きく分けて3フェーズでブランディングプロジェクトを遂行していますが、このブランディング戦略に基づいて実行フェーズで行うのが儀式になります。ブランディングにおける儀式では、儀式の要件を満たす要素の戦略的決定をした上でストーリーテリングの手法も織り交ぜながら全体的なコミュニケーションデザインを行うため、一口に「内定式」と言っても他社事例をそのまま真似すれば済むという訳ではなく自社ブランドらしく緻密にデザインすることが大切です。

例えば、某不動産系のスタートアップ企業の社長から「そろそろ新卒採用を始めたい」とブランディングの相談を受けた際に、「(スタートアップ×不動産ということで、入社する本人はもちろんその家族の)不安を取り除く」をブランドマントラにして全体を設計しました。(※ブランドマントラについては次回投稿いたします)

MVV作成、カルチャーデックの制作、既存の従業員に対するエンゲージメント研修やリーダーシップ研修など受け入れ体制を整えながら、特に力を入れたのが内定式です。内定式には学生さん本人達だけではなくご家族用のインビテーションを作成してお渡しし、全体的に規模は大きいけど社長のホームパーティーのような建て付けにしました。ご家族用のインビテーションに書いたメッセージと内定式での社長のスピーチを上手く連動させたりと、社長の想いを形にするためのコピーライティングが一番の肝だったように思います。内定式にご家族をというと、過保護だとネガティブに思う年配の方も多いかと思いますが、「不安を取り除きたい、安心させたい」という想いが根底にあってそれを体現できる会社は素晴らしいと私は思います。(その後の入社式やオンボーディング、新卒研修の内容も踏まえて内定式の全体設計をしました)

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