プレス(広報、PR)というお仕事

新卒で外資系ブランディングコンサル会社に入社して様々なコーポレートブランディング、商品・サービスブランディングのプロジェクトに参画した後に次の転職先として選んだのはサマンサタバサのプレス(広報、PR)でした。当時のサマンサタバサのプレスは社長直下部署で広告代理店を入れずに自分たちで幅広いPRや広告業務を行っていたため、「サマンサ=プレス」という図式が社内外にも広く認知されていて、通常業務である商品のお貸し出しや商品にまつわる媒体社など関係各所との連携に加えて、サマンサミューズと呼ばれる国内外のモデルさんとの打ち合わせや撮影、雑誌のタイアップ、イベント、と心身ともに目まぐるしい毎日を過ごしていました。

アパレルのプレスのお仕事で大切なこと

大学は早稲田の法学部だったのでファッション系のバックグラウンドもなく、面接ではとにかくお洋服が好きで雑誌が好きなこと、そして外資系ブランディングコンサル会社でブランディング戦略立案と実行まで一貫して対応してきたことをアピールしました。実際にプレスとして稼働し始めると「サマンサ顔だね」「サマンサっぽい顔してるね」とよく言われることもありましたが、プレスのお仕事に必要な要件というのは、①そのブランドが好きということ、②そのブランドの世界観を理解して体現できること、③雑誌などのメディアに精通していること、④トレンドや時流を捉えること、⑤媒体社を中心に関係各所やお客様と良好なコミュニケーションが取れること、の5つなのではないかと当時は考えていてそれを心がけていました。

サマンサのプレスを経て電通へ転職した直後に同じ営業局で同じチームで働いていた森山に皆んなの前で「サマンサタバサのプレスの方が電通の営業よりも女としての職業偏差値高いのにね」と大声で言われて、そういう考え方をする人がいるんだという気付きを得てびっくりするくらいに、当時の私はプレスが人気職であることを知らずただ純粋にお洋服が好きという気持ちで面接を受けて当時の社長も「洋服が好きってことが大事だから」と言ってくださって無事にプレスになれたので、一番大切なのはお洋服への情熱だと思います。

PRのお仕事のやりがい

私は自分の信じる道をマイペースに邁進するタイプなので電通を経て独立し自分の会社も作りましたが、サマンサタバサでのPR業務を経験しているからか、電通へ入社した時も独立してからもPR業務を依頼されることが多かったです。正直なところ、新卒からずっとブランディングプロジェクトや海外のNDA案件、クライアントの社長案件など難しい業務に取り組むことが常態化していたので、PR業務は楽に感じてちゃんと仕事をした気がしないとさえ感じてしまってました。でもある時、ブランディングとPR業務を発注してくれたクライアントから「美意識とか豊かさ、トレンドに紐付くPRの仕事は向いてますね」とさらっと言われてハッとしました。確かに、小さい頃から周囲のお陰で良質なもの・体験に出会う幸運に恵まれ、また、自分が「綺麗」「素敵」と感じたものはすぐに周囲にお披露目したがる性格をしている…私はナチュラルにPR業務をしているんだと、その言葉によって自分の中の当たり前が浮き彫りになり初めて自分のPR業務に価値を感じることができました。

過去のある時点まではPR業務を楽に感じてしまっていたので敢えて自分に負荷を掛けようと、意識してブランディングの知見をフル活用したPR戦略を企画書に落とし込んだり、ブランドコンセプトブックを制作してPRツールにしたり、そのブランドの世界観をお客様に体験頂けるイベントを積極的に企画・運営したりと、プランナーの要素を高めた手の掛かるPR業務をクライアントに提案して実施してきました。PR業務というのは広告のようにクリエイティブ(制作物)がある訳でもなく、業界でも広告の補完機能として軽視されてきた部分はあります。ですが、私は過去の自分の試行錯誤の経験を活かして、PR業務を「ブランディングの知見をもとに、PR戦略立案から、メディアプロモートやメディア対応、体験型のイベントの企画運営まで、誰もがブランドストーリーを語りたくなる仕組みを構築する業務」と定義していて、それを自分の強みとしているのでPR業務はとても楽しくてやりがいのある仕事だと感じてます。

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