ブランド戦略上、最も重要なのはネーミングです。人々を最初に惹きつけるのもネーミングで、さまざまな体験の後に最終的に人々の頭に残るのもネーミングに対する知覚だからです。世界で強いブランドの強さの理由の一つには、短くて独自性がありその優位性を端的に表現する「社名」があります。
ネーミング哲学
私が新卒の時に初めて一人でプロジェクトを回したのは自動車メーカーのコンセプトカーのネーミング開発でした。当時の上司が「ネーミングがブランディングプロジェクトの中で一番分かりやすいから」という理由で任せてくれたのですが、その後さまざまなブランディングプロジェクト、そしてPRや広告などコミュニケーション領域のプロジェクトを経験して実感したのは、「ネーミングにブランディングの真髄がある」ということです。その体験から弊社ではネーミング哲学として、陰陽師の第1巻にある安倍晴明の「ものの根本的なありさまを縛るというのは、名。この世に名付けられぬものがあるとすれば、それはなんでもないということ。存在しないとも言える。」という言葉を引用しながら、「ネーミングは、創業ストーリー、ビジョン、ミッション、目指すべき姿などから抽出したエッセンスを端的に表現するもので、ネーミング開発とは『ブランドに命を吹き込む』こと。ネーミングによって、ブランドの過去と現在はもちろん、未来も規定される。」というご説明をするようにしてます。
ネーミングの作り方
次にネーミング開発の具体的なステップについてご説明します。大きく分けて、次の4ステップがあります。
①キーワードの抽出:MVVや機能的特徴、情緒的特徴などからキーワードを抽出します。
②「ネームストーミング」:キーワードを発展させて、ネーミング案を転がして、ネーミングの型/類型に当てはめながらアイデア出しをして、字面や語感などの観点からネーミング案を精査します。
③スクリーニング:簡易商標チェックやドメインチェック、その他マーケティングやブランディングの観点などでネーミング案をスクリーニングします。
④プレゼンテーション:ネーミングの名前、読み方、由来、イメージ画像などをまとめたスライドでプレゼン。
上記の②のネームストーミングに関しては、長年蓄積した自作のネーミング辞典があるのでアイデア出しをしながらネーミング辞典を活用してブラッシュアップして行くのですが、「Aから始まるネーミングにしよう」とか「ガ行を入れてワクワクしたイメージを足したい」、「商材のイメージに合うようにサ行と破裂音の組み合わせをメインに使おう」「小文字より大文字の方がロゴにした時にデザインの発展性がある」とか色々と発音したりロゴデザインをイメージしたりしながら頭をフル回転させて作ってます。
また、上記の③のスクリーニングに関しては、ネーミングの要件である、短さ(※あえて長くする場合は省略形も考慮します)、独自性、発音のしやすさや覚えやすさ、ブランド戦略との合致などでもスクリーニングしつつ、クライアントの業種特有の事情などでもスクリーニングを実施します。素敵なネーミングが出来た!と思ってもこのスクリーングでボツ案になることも多くて、商用利用のネーミング開発はなかなか制約が多いので大変ですが、私は法学部出身なので「制約の中での自由/クリエイティブ」というものがあまり苦にならないというかむしろ得意だったりするので、ネーミング開発はすごく刺激的で楽しいです。何よりも、ネーミング開発は弊社にとって原点です。
ネーミング開発プロジェクト
これまでに開発してきたネーミングは、会社名、商品名、サービス名、店舗名など様々あります。商品名だとコンセプトカー、マンション、洋服、化粧品、ガジェットなど。サービス名は、IT系サービス、メディア、保険、など。店舗名はカフェ、飲食、エステサロンなど。ネーミング開発は日本語と英語、ラテン語で作成していて、フランス語やイタリア語、スペイン語などは分からないので対応してません(対応できません)。ネーミング開発はブランド戦略上、もっとも重要な位置付けにあり、非常にテクニカルな領域でもあるので、是非お気軽にご相談して頂ければと思います。