「企業文化は戦略に勝る/Culture eats strategy for breakfast」というピーター・ドラッカーの有名な言葉があります。企業の最重要資産である企業文化は、創業者たちの情熱、エネルギー/リズム、大切にしている価値観や行動指針、つまりMVVから生まれます。
MVVは、企業のTOBE(目指すべき姿)
企業が目指すべき目的地を知らなかったら、結局はそこに辿り着けません。企業成長の直接的な鍵である企業文化は運任せにして勝手に生まれるものではなく、予め企業として目指すべき姿を規定して全ての企業活動の原動力となるように戦略的にMVVを策定した上で企業文化醸成の枠組みも構築しておく必要があります。ここで、企業文化の骨子とも言えるMVVを定義してみたいと思います。
①MISSION /ミッション:企業の存在意義、果たすべき使命や役割。
②VISION /ビジョン:実現したい未来像やその達成に向けた指針。
③VALUES /バリュー:企業が大切にしている価値観や行動指針、マインドセット。
MVVの作り方
まずは、A)企業がこれまでに社内外へ発信してきた情報や競合、市場などを分析し、B)創業者やマネジメント層へのデプスインタビューを実施、C)その上で企業内のブランディング・プロジェクトメンバーとワークショップを実施します。弊社では、A〜Cの各ステップで抽出したブランドのエッセンスとなる属性をまとめた上で弊社が独自に開発した「勝てる企業文化の13の条件」や「心理的安全性の作り方」「マネジメント層のルール」「brandscope」などの手法・フレームワークを活用してMVVを策定してます。
このプロセスの中で重要なのが、過去・現在・未来という時間軸を意識すること、そして創業者、マネジメント層、従業員の意志を反映すること、さらにブランディングの知見とクリエイティビティを活用してMVVを開発するということです。A〜Cの各ステップの実施とブランドの属性の抽出の分析フェーズだけで数週間かかり、その後のMVV開発フェーズで数週間掛かります。
企業活動の原動力となるMVVを作る
単純に形だけのMVVを作るのであれば誰でも時短で作ることができます。ですが、要件を満たしていなかったり、ブランドや創業者たちの真の姿とリンクしていなかったりというように欠陥があることがほとんどで、そのような偽物のMVVは機能せずブランドの構築や勝てる企業文化の醸成には繋げることができません。MVVを作る目的は、実現可能な高次元の目標を掲げることで顧客や従業員を惹きつけて、従業員一人ひとりが共通の価値観・行動指針に基づいて行動して顧客に対してブランドの正真正銘の価値を提供し、企業・ブランド価値を最大化することです。その行動の積み重ねが企業文化となるため、企業文化はMVVの副産物と言えます。MVVが全ての企業活動の原動力となって勝てる企業文化を醸成できるように、ブランドの真の姿にリンクしていて、ブランド戦略全体を踏まえて有機的に機能する本物のMVVを作ることが大切です。
補足
MVVを新たに作成というご依頼のほかに、「既存のMVVの修正をして欲しい」とか「MVしかないのでVを追加で作成して欲しい」という発注を頂くこともあります。修正や追加の場合は、既存のものと整合性を図りつつ(←とっても大切)、解釈を変えたり新たな属性を加えて補強したりすることも柔軟にできますので、お気軽にご相談頂ければと思います。