物が売れない時代になってきて、「消費者インサイト分析」が今まで以上に強く求められてるのを実感してます。インサイト/insightとは「洞察・発見・直感」のこと。マーケティング業界で消費者インサイトは「消費者自身が気づいていない本音、感情、動機を洞察すること」を意味します。消費者ニーズと混合されることも多いのですが、消費者ニーズは消費者が自覚している要求であって、商品・サービスが溢れている現代社会では既に消費者ニーズはほぼ満たされているため、競合との差別化には消費者ニーズよりももっと奥深い消費者インサイトを掘り下げる必要があると言えます。
物が売れない理由と「マーケリサーチ不要論」の真相
「自社の商品・サービスは質が良く、競合との差別化もできているのに、売れない」という悩みを抱えている企業は少なくありません。ですが、売れないという明確な事実があるのであれば、人口も消費も減少する一方で、商品・サービスはますます溢れ返り、消費者の価値観や消費行動も多様化が進む中、「本当に自社の製品は競合と比べて差別化できているのか」など改めて顧客起点で検証する必要があると思います。
また、「マーケティングは過去を検証するもので、未来を読み解くことはできない」「欲しいものを消費者に聞いても分からない」というように、消費者調査などのマーケティングリサーチはあまり意味がないという主張をする「マーケリサーチ不要論」があるのは事実です。確かに、商品・サービス開発の観点では、例えばAppleのスティーブ・ジョブスのように、「人は実際にそれを見るまで、それを欲しいかどうか分からない」というフィロソフィーに基づいて消費者に委ねずにブランド主導で商品・サービス開発をして機能するブランドもありますが、それは一部のブランドのみができることであって全てのブランドに当てはまる訳ではありません。消費者の声を反映しながら双方向でブランドを構築する手法もブランディングの一つの手法であるため、自社のブランドの属性やブランド戦略との親和性を考慮した上でどの程度の双方向性を組み込むかを慎重に判断する必要があります。
更に、商品・サービスは開発して終わりではなく実際に市場で売るためのブランディング/マーケティング、PR、広告活動をしていく必要がありますが、これらの活動では最初にまず大なり小なり顧客インサイト分析を行います。つまり、顧客インサイト分析は全ての企業にとって必須だということです。
NOTE:ご参考までに、下記スライドは弊社のサービス概要のページですが、分かりやすいように顧客インサイト分析の箇所にハイライトを付けてみました。弊社のサービスは、①調査分析、②戦略立案、③実行の3フェーズに分かれており、①のフェーズに関しては調査単体で発注を受けることもありますが、②と③のフェーズに関しては①の調査分析を踏まえた上で行う性質のものなので、弊社では全ての案件で顧客インサイト分析をするのが当たり前になってます。(新卒で入ったブランディングコンサル会社が外資系広告代理店のOgilvy&MatherとJVだった関係で、新卒時にOgilvyの研修で「BIG IDEAを探せ、insightを探せ」という指導を徹底的に受けたため、新卒の頃から全ての案件でそのプロジェクトに応じた消費者インサイト分析を行ってます。)