外資系広告代理店の新卒営業が一番最初に任せられる仕事は、コンタクトレポート(議事録)の作成です。コンタクトレポートとは、文字通りクライアントと打ち合わせをする度にクライアントへ送るレポートのことで、その目的は「共通認識を形成し、プロジェクトを推進しやすくすること」にあります。新卒の頃に参加した若手営業を対象にした社内研修では、「会議の進め方」を1コマ、「コンタクトレポートの書き方」を1コマ、というようにかなり丁寧に指導して頂きましたが、社会人成り立ての頃に「円滑な会議の進め方と効果的なコンタクトレポートの作成はセットである」ことを学べたのは今振り返ってみても非常に有益だったなと思いますので、共有させて頂きます。
会議にはアジェンダが必要
円滑な会議の進行は会議の招集から始まります。参加者を選定し、日程調整をし、会議室を押さえ(オンライン会議のリンクを手配)、関係者に通知、と様々やることはありますが、絶対にハズしてはいけないのがアジェンダを事前に共有しておくこと。会議に必要な資料はできるだけ事前に送った方が良いですがマストではありません。ですが、事前にアジェンダ、つまり会議の議題と目的、全体の流れを共有しておくことはプロジェクトを円滑に進行していくためには欠かせません。そもそもアジェンダの無い会議なんて会議する必要は無いということ。お忙しい中集まって頂く関係者の方々に対して最低限のプロトコルだと思いますので、しっかりと事前に通知しておく必要があります。
コンタクトレポート(議事録の記載例)
コンタクトレポートのフォーマットは様々ありますが、私は「タイトル(CONTACT REPORT)、作成日、会議の日時、会議の場所(オンラインの場合はオンラインと記載)、会議の参加者」をまず前段に表にして記載します。その次に、「1.アジェンダ」、「2.協議事項」、「3.決定事項」、「4.NEXT STEP」の項目毎に、内容を纏めていきます。コンタクトレポートを書くコツは、以下の通りです。
POINT①前段とアジェンダは会議前に埋めておくこと:前段とアジェンダの内容は、会議の招集をかける時点で分かっていることなので、会議前に埋めておいて、会議中に会議の参加者の箇所に記載間違いがないかを確認するようにしましょう。コンタクトレポートは24時間以内に関係者に送るというのが暗黙のルールになっているので、スムーズに送るために事前に出来ることは出来るだけ事前に済ませておくことが重要です。
POINT②協議事項は重要な内容だけを抜粋すること:会議中の全ての発言内容を記載する必要はなく、あくまでもハイライトだけをまとめることが大切です。決定事項は次の項目で別途まとめることになるので、「そこに至るまでに十分議論を尽くせたかどうか」を見える化することを意識しながら、議論が分かれたポイントに対するそれぞれの代表的な意見や、提示された懸念事項などを、発言者を明確に記載しながら協議事項の箇所に纏めていきます。
POINT③決定事項は明確にすること:会議において決定されたこと、合意がなされたことを、誤解の余地がないように明確な文章でまとめることが重要です。会議における成果物と評価できる最も重要な箇所なので、協議事項と混合がないように、そして決定や合意の抜け漏れがないように、参加できなかった人にも理解しやすいように、正確な情報を記載することが大切です。私は研修の時に書いたコンタクトレポートで、コスト情報に通貨を記載していなかったため指導してくれた他部署の営業の先輩に「ドルなの?円なの?どっち?」と詰められた苦い思い出があります。
POINT④次のタスク(TODO)を過不足なく記載すること:会議をするのはプロジェクトなどの業務を推進するためです。推進できるように、NEXT STEPの項目では、「誰が何をいつまでにするのか」という会議の決定事項と付随するタスク(TODO)を過不足なく明確に記載し、担当者がスムーズに実行に移せるように、関係者全員が動きを把握できるようにしましょう。次の会議の日時やアジェンダも、NEXT STEPの箇所に記載しておきます。
私は上司に「広告代理店の営業はプロデューサーである」と教わりました。「円滑な会議進行と効果的なコンタクトレポートの書き方はセットで、それは共通認識を形成しプロジェクトを推進しやすくするため」という意識を持って、コツコツと合意を積み上げていく地道な業務もとっても大切な営業の仕事だと思ってます。