ブランドを成功させる一番の要素でありながら一番頻繁に破られるのが「一貫性の法則」です。ブランドとは、各タッチポイントで得られた経験や感情から、消費者が頭の中に作り上げた変幻自在のイメージ・コンセプト。そして、ブランディングとはそのイメージ・コンセプトを生み出すメッセージや体験を企業がデザインし管理するプロセス。強いブランドを構築するためには、360°全方位においてビジネスとコミュニケーションをブレずに一貫させることが重要です。
ビジネス軸での一貫性
ブランディングにおける一貫性の法則には前述の通りビジネスとコミュニケーションの2軸があります。ビジネス軸での一貫性の法則とは、例えば、リーズナブルな値段で家族連れ・子どもに人気のファーストフード「マクドナルド」が、大人向けに出した高価格帯の「アーチデラックス」を発売し広告費も1億ドルを掛けて大人仕様のクリエイティブで展開したものの、マクドナルドのコアバリューやブランドパーソナリティーとの乖離があって大失敗に終わったこと。
一方で、決してヘルシーなイメージだとは言えないコカ・コーラは、低カロリーで健康志向のダイエットコークを販売しましたが成功してます(※アメリカで)。マクドナルドのアーチデラックスと同様に、ブランドのコアバリューやブランドパーソナリティとの矛盾で失敗に終わりそうですが、コカ・コーラのブランドのコアバリューは「リフレッシュメント」「楽しさ」なので、ダイエットコークが矛盾するとは言い切れずある意味一貫性は担保されているから成功したとも言えます。ですがより的確に言うとやはり消費者がコカ・コーラに求めるブランド認識とダイエットコークには相反する要素があるのは事実なので、本来であれば失敗に終わるはずが売上が好調で成功したのは、コカ・コーラのブランド力ないしはブランディングの作用であるというよりも、競合ブランドであるペプシがすでにダイエットペプシというライン拡張商品を持っていたから競合ブランドとの力関係の作用によると言えます。
ブランディングとはブランドの境界線を限定すること。「スポーツカーなのに、ステーション・ワゴンを」や「安全性を売りにしているのに、スポーツカーを」というようにブランドが設定した境界線を超えた時は、要注意です。市場トレンドが変わってきたからブランドも変えるというのは、一貫性の法則に反します。多少の微調整であれば問題ありませんが、ブランドの本質を変えることは絶対におすすめできません。市場トレンドに流されず、ブレずに本質を守り抜いて、リブランディングやマーケティング、PRや広告、その他ビジネス領域の改善で乗り切るか、別途新ブランドを立ち上げるかが最良の選択肢です。
※ちなみに今回のキービジュアルのアイコンは「一貫性→金太郎飴」というイメージで作成しました。
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