ブランドと社会的責任:心理的安全性

全てのブランドは、ミッションやパーパスに沿った活動をすることと同様に、自らの社会的責任についても考えを積極的に発信し本気で社会的課題の解決に取り組んでいくことが大切です。社会的課題の具体的な例としては、環境や人権、従業員の働きやすさ、サステナビリティなどが挙げられます。ブランドは利益至上主義に陥ることなく、社会全体やステークホルダーに対しての責任を果たすべく、具体的な戦略や信念を持ちプロアクティブに行動を起こすことが求められているのです。

社会的イシュー(課題)の抽出とストーリーテリング

では、ブランドはどのような社会的イシュー(課題)に取り組んだら良いのでしょうか。ブランディングの大原則に「一貫性」があります。ブランドの活動は、ミッションやパーパスなどの信念、提供している商品・サービスや企業運営のあり方、顧客などステークホルダーとの関わり方、など全てのタッチポイントにおいて一貫性を持たせることが重要だということです。当然、ブランドの社会的責任の文脈でも一貫性が問われます。ブランドが本気で取り組んでいくべき社会的イシューを抽出し選定していくフェーズの時点で、これまでのブランドの活動と一貫性があるかどうかを真剣に検討することが大切です。

さらに、ブランドの社会的責任を語る時には「ストーリーテリング」の手法が求められます。ざっくり言うと、「昔はこうだったのを私たちは社会的課題だと捉え、今はそれを解決するためにこのような取り組みをしていて、実現したい未来はこのようなものだ」というように時間軸で語る必要があるのです。

つまり、ブランドの起源・想いやこれまでの歩みの中で痛感した社会的課題に対し、自分たちらしいやり方で課題解決のために取り組み、ブランド活動全体として社会に良い影響を与えていきたい、というように一貫性が保たれていて(=必然的にブランドらしさも表現されていて)、具体的な戦略と実践的な戦術・施策を通じて、実現したい未来のビジョンを明確に打ち出すことが重要なのです。※こうした社会貢献への取り組みプロセスは通常のブランディングプロセスと同様、非常に複雑多岐にわたるためこの記事では省略します。

社会的イシューとしてのメンタルヘルス

前述のように社会的イシューはさまざまありますが、現代社会においてメンタルヘルスの問題の深刻度はコロナ渦を経てさらに高まってきているのを痛感してます。弊社では既存サービスをブラッシュアップして「心理的安全性の高い企業文化策定」というサービス提供を進めており(http://acebrand-b.com/psychologicalsafety/)、心理的安全性の高い組織づくりは経営者の使命であるというスタンスを取っていますが、本気で心理的安全性が担保されている組織づくりに取り組んでいる企業は非常に少なく、働く人自身も自分で自分の心理的安全性を高める施策に本気で取り組む必要があると考えています。以上から、弊社は社会貢献活動として「働く人が自分でできる心理的安全性の向上」に関する情報発信を行なっています。

私は社会人になってから、魑魅魍魎の世界を知ることとなりました。まだ新卒1年目で一人前に業務も任せられていないのに異業種から転職してきて印刷やクリエイティブ業務の知見のない役職者がクライアントに提出した印刷見積もりのミスを私に責任転嫁してきたり(そもそも私はまだ見積もりすら作らせてもらえなかった)、ほぼ初対面で派遣女性が「この顔とビジュアルだと何でも人生思い通りでしょ」と卑しい品定めをしてきたり「可愛い服着ちゃって」と洋服を引っ張ってきたり、時短勤務の女性に「お金持ちに好かれそう」と下劣な品評をされたりと、私は立っているだけで相手に何の攻撃もしないのに迷惑も掛けていないのに訳が分からない攻撃をされました。

残業時間160時間越えの超過重労働をしていて、扱い金額(※広告代理店では売上金額のことを言います)の大きさや仕事のプレッシャー、過労と睡眠不足で食事も満足にとれず満身創痍の中、男女の集団から皆んなが見てる前でハラスメントの範疇を超えた名誉毀損と肖像権の侵害をされた時は、自分たちの地獄に無関係の私を巻き込むなと憤慨しました。どうして会社は仕事で成果を出す側を守らずに、仕事で成果も出さず不法行為や迷惑行為を繰り返す人たちを「可哀想だから」と守るのか、私には全く理解ができなかった。自他共に認める陽キャの私も一度は病んでしまいました。

立っているだけで仕事を頑張って成果を出すだけで、一方的な嫉妬で事件に巻き込まれ、それでも「同じ土俵に立ちたくない」と苦悩しながら仕事に邁進するのは経験者にしか分からない地獄だと思います。ただ一つ、確実に言えることは、美男美女や高学歴で仕事ができる人、親からたっぷりの愛情と教育を受けてきた人、幸せな人で、私に理不尽な加害行為をしてきた人は皆無で、他方、私に理不尽な不法行為や迷惑行為をしてきた加害者達にも共通の属性はありますが、そのやり口は多種多様だということです。自衛のしようもありませんでした。会社員時代、私は長時間過重労働にセクハラ・パワハラ・嫌がらせなど、心理的安全性が皆無の環境でしたが、それでも仕事で成果を出せていたのはなぜだろうと突き詰めて考えた時に自分で自分の心理的安全性を確保する努力をしていたからと気付きました。同じように孤軍奮闘している人に「光は闇に勝つことができる」ということを伝えたい。だから、自分と仕事に誇りを持って頑張る真面目で誠実な人が、もっと自由に公正に自分らしく働ける社会という理想を実現するために、「働く人が自分でできる心理的安全性の向上」の情報発信を続けていきたいと考えています。